ベラスケスに脱帽!兵庫県立美術館「プラド美術館展」

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先日、兵庫県立美術館で開催中のプラド美術館展へ行ってきました。かねてより見たかったベラスケス、マドリードならぬ神戸でじっくり鑑賞することができてナイスな一日でした。平日なのでそれほどの人手ではありませんせしたが、外人客が多かったノイはのにはびっくり。半数はアジア系の人たちで占められていたのではなかったでしょうか。観光地と違ってさすがにお行儀の良い人ばかりで、こちらも気分良く鑑賞できました。


マネが「画家の中の画家」と呼んだベラスケスは、卓越した技法の持ち主として知られていますが、実際に現物をみて納得できました。どの絵も「鏡のようなリアリズム」で描かれているのですが、そばに寄って見るとディティールが荒いタッチで省略的にすばやく描かれており細かくは判別できないことに驚きました。同時代の他の作家たちの作品も並べられていましたが、いずれも丁寧に細密的に描かれているとは対照的で、さすがの一言。

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代表作の一つ「バリェーカスの少年」、よかったですねぇ。しばし見とれて立ちすくみました。ベラスケスは当時虐げられる存在であった矮人たちや下級層の人々を描いていますが、この作品を見ると彼がなぜ彼らをモデルとして選んだが、なんとなくわかるような気がしました。かれはきっと宮廷画家の枠を超えたヒュマーニストでありたかったのでしょう。ベラスケスの傑作といえばそのだまし絵的な構図の「女官たち(ラス・メニーナス)」が有名ですが、さすがに国宝は持ち出せなかったのか、今回見ることはかないませんでした。が素晴らしい作品を7点も鑑賞できて十二分に満足できました。

今回はベラスケスだけでなくティツィアーノ、ルーベンスなどの巨匠たちの作品や大好きなグレコの小品などもあって、満足度100%。意外に魅入られたのがポデゴン(スペイン静物画)のコレクションを展示したブース。とても素敵な時間を過ごせました。

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毎回思うのがこの美術館の不可解不思議な通路計画。安藤忠雄の美的センスには頭が下がりますが、もう少し高齢者たちのことも考えてくれ(笑)

鉄斎美術館展覧会にて 「鉄斎の旅―足跡、天下に遍し―」

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先日、宝塚は清荒神清澄寺内にある鉄斎美術館で開催されている展覧会 「鉄斎の旅―足跡、天下に遍し―」へ行ってきました。その10日ほど前にも行ったのですが、あいにく休館(調査不足)で二度手間になっちゃいました。鉄斎美術館は、清荒神清澄寺第37世法主光浄和上が長年蒐集した富岡鉄斎の作品を公開するために、第38世法主光聰和上が昭和50年に開館した美術館です。手入れの行き届いた境内の奥まった位置に建つ美術館はなかなかの景観で期待感がそそられます。※写真はすべて告知サイトからの借用

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初めて拝見した館内はシンプルな設えながらも天井が高く広々とした空間でした。昨今の美術館や博物館は照度を落としすぎていて、爺の劣化視力では辛いことが多いのですが、ここは暗からず明るからず過不足のない環境でした。ちゃんと作品を鑑賞してもらおうという館側の気配りが感じられて好感を抱きました。

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富岡鉄斎といえば近代日本画(南画)の巨匠とされていますが、僕的にはちょっと下手上手な絵を生涯描き続けた爺という印象しかありませんでした。しかしいわゆる文人画は好きなジャンルなので、一度は本物をずずいと見たいと思っていました。

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今回の展示会は鉄斎の代表作品の羅列ではなく、鉄斎の全国遍歴の旅を辿るというテーマ展でした。そのため文献では見たことのない作品や旅の絵日記を鑑賞でき、なかなか興味深いものがありました。鉄斎への興味喚起という点では、一般的な作品展より役に立ったかも。文人画の大家だけあって画賛にも深い教養と薀蓄が感じられて面白かったです。次回、秋のテーマ展にもまた行きたいと思っています。参道にも美味しい店(蕎麦、お菓子、佃煮など)が色々あるので今から楽しみです。

地味ながらも興味深かった「UCCコーヒー博物館」

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「鋼の錬金術師展」見学後、時間が余ったので、ポートアイランドにある「UCCコーヒー博物館」へ回ってみました。このミュージアムは1987年誕生でユーシーシー上島珈琲が運営しています。バブル期の建築ゆえか豪華な外観ですし、しかもちょっとエスニックな雰囲気なのでコーヒーの持つ文化イメージにとても似合っています。ポートアイランドに開館以来31年にもなりますが、その間神戸市民ながら一度も覗いたことがありませんでした。まぁ博物館としては地味で見るところがないだろうと思っていたからです。

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当日は平日で雨という条件、さぞ館内はガラガラだと思っていたら、ところがどっこいけっこうな人出で賑わっていました。何度もリニュアルをしたのでしょうか、館内に古びた感じはなくとても清潔ですし、展示のため導入されている視聴機材も最新のものばかりでした。行政運営の博物館はともすれば展示物にほこりが被っているような裏寂しさがありますが、ここはさすが業界一流企業の運営だけあって、人員の配置やサービスが行き届いていました。※もっとも大雨の影響で屋根防水が切れたのか、3階の一部がかなりの雨もりでスタッフが雑巾とバケツを持って走り回っていました。UCC名誉のために言うと現在はスタッフの努力で復旧しているはずです(汗)

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右手に並んだ額に入っているのはコーヒー豆を入れるための麻袋、いわゆるドンゴロスです。いろんな洒落た柄があって大変興味深かったです。神戸は昔から珈琲とは縁の深い街だったので、僕も子供の頃を思い出して懐かしく思いました。

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いろんな展示品があって多くの発見がありました。一通り見回った後はテイスティングコーナーで味見のひととき。4月はインドネシがテーマでマンデリン(アラビカ種)とジャバ・ロブスタ(カネフォラ種)。マンデリンはその昔、純喫茶ブームの頃に通を気取って飲んだことがあります。ちょっと酸味のある軽い味わいで個性的な豆ですね。

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こんな面白い展示を見つけました。映画エヴァンゲリオンで加持リョウジが碇シンジにUCCのミルクコーヒー缶を手渡すシーン。僕は仕事の関係で、この世界初の缶コーヒー(愛称三色缶)と少し関わったことがあり懐かしかったです。家人は最後にスーベニールコーナーでコロンビア・スプレモをゲット。やや苦味と酸味が勝った通向けの味わい。帰ってから僕もいただきましたが美味しかったです。

展示そのものは珈琲という地味な対象ですが、膨大な資料やグッズのために上手く構成された見学路や、あきさせないためのハイテクを導入した視聴コーナー、ゲームなど、ずいぶんな工夫を感じました。買い物や飲食を楽しめるコーナーもあるので、ポートアイランドに足を向けることがあればぜひ覗いてみて下さい。おすすめです。

神戸ゆかりの美術館にて「鋼の錬金術師展」

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全世界発行部数7000万部を超える大ヒット漫画「鋼の錬金術師」の巡回原画展が神戸にやってきたので、先日家人と見に行ってきました。場所は六甲アイランドにある神戸ゆかりの美術館。ちょっとマイナーな美術館ながら時々面白い展示をやるので、チェックを見逃せません。会場内はさぞ若い人ばかりだろうと、シルバー二人組はちょっと気恥ずかしかったのですが、案外年配の人も多くホッとしました(汗) 私達はTVアニメしか知りませんが、あれだけ面白いのだから子供から大人まで広い世代で支持されているということなのでしょう。

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原作者の荒川弘氏はすばらしく絵の上手い人で、原画を見るのが楽しみでしたが、やはり名手でした。彼女なら一流のイラストレーターとしても喰っていけたでしょう。もっともストーリーテーラーとして超一流だから漫画家として名を為したのでしょうが。※画像は告知サイトより拝借



荒川弘氏のイラストメイキングDVDが会場で放映されていました。さすが一流プロ、手が早いです。ちょっと参考になるテクニックもありました(嘘) TVアニメは予算の関係からか、原作とはデッサンやタッチに大きな差があるものですが、このアニメ(一期二期とも)は落差をそれほど感じませんでした。制作会社が優秀だったのでしょうね。

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記念撮影コーナー、作者のキャラクター「牛」が金粉まみれで中央に鎮座。私達もパチリ(笑)


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この手の展示会には、キャラクターグッズや書籍がてんこ盛り並べられますが、今回笑ってしまったのはロイ・マスタングのコスプレ手袋、もちろん発火仕様(笑) しかもお一人様3対までとは。何でも売れるのですねぇ。

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最後に大笑いしたのは会場内のトイレサイン。なんと男女のピクトサインがそれぞれアームストロング姉弟のシルエットに。オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将もトイレに飾られるとは思っていなかったでしょう(笑) 漫画やアニメ、イラストの原画展は外さないようにしていますが、今回も面白かったです。

ジブリの大博覧会 in 兵庫県立美術館

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「ジブリの大博覧会」がやっとわが町神戸にやってきたので、先日出かけてきました。「ジブリの立体建造物展」も建築好きの僕には面白かったですが、今回の「ジブリの大博覧会」は企画から宣伝、広告にスポットを当てた演出で、監督やアニメーターの仕事ぶりもさることながら、名プロデューサー鈴木敏夫の足跡がじっくり紹介されていました。ジャンル違い、スケール違いながら僕もバブル期(笑)企画や販促関連の仕事をしていたので、貴重な展示品の数々を興味深く鑑賞することができました。

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圧巻だったのは映画ポスターの数々。一本の映画にも非常に沢山のポスターが用意されていてビックリ。下書きや版下などの資料まであって面白かったです。背景画とキャラクターが完全に書き分けられていたのは、知っていたこととはいえ、目にするとなるほどと納得できました。コピーライター糸井重里氏が生み出したナイスなキャッチと作品との関わりもよくわかりました。※写真は広報資料より

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グッズ売り場ではありません。映画公開とタイアップした販促ツールの数々。アニメはビッグビジネスなんだなと改めて感じ入りました。巨大な伊万里焼の壺には秘密が(笑) ※写真は広報資料より

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面白かっったのはこのネコバス展示。この手のイベントはまず撮影禁止ですが、このコーナーに関しては撮影OK.。早速家族連れやカップルが記念撮影していました。我が家も一枚パチリ(笑)

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会場の後半部は「スタジオジブリ 空とぶ飛行機展」。ジブリといえば飛行機あるいは飛行機械はマストアイテム。多数かつ詳細なイラストや模型で作品を追体験できました。最後のブースは巨大な飛行船の模型。上下に動くので大迫力。ここも撮影OKで皆さん大喜び。

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出口にはこんなサインが。さすがジブリ、展覧会ですら子供から大人まで楽しめるワンダーランドでした。

藤田嗣治展 山王美術館にて

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新海誠展を鑑賞したあとは、地下鉄に乗って難波のホテルモントレへ。ここの22階には山王美術館があります。規模は小さいながらも明治から昭和期の洋画・日本画・陶磁器をコレクションしています。今回は一度現物を見てみたいと思っていた藤田嗣治の作品に会いに来ました。

結論からいうとやはり本物はよかったです。過去TV等ではさんざん目にしていますが、藤田嗣治独特のタッチ、技法はオリジナルを見るに如かずでした。なんともいえない蠱惑的な少女の表情には惹かれます。さすがエコール・ド・パリの寵児といわれただけのことはあります。

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高級カフェのような入り口周りの佇まいがなかなか。展示室はメイン展示室以外にも小さな常設展示室?が2つあり、日本画や陶磁器が陳列されていました。私の好きな堂本印象があったので嬉しかったです。ここは始めてでしたが、収蔵作品に梅原龍三郎、佐伯祐三、河井寛次郎などもありますので、また来るかもしれません。
※ホテル自体は落ち着きのある英国調の設えですが、神戸モントレのほうが写真的には絵になりますね。

竹中大工道具館 アニメーションにみる日本建築-ジブリの立体建造物展より-

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先日、竹中大工道具館(神戸)で開催中の「アニメーションにみる日本建築-ジブリの立体建造物展より-」へ行ってきました。2月にあべのハルカス美術館で開催された「ジブリの立体建造物展」へ行ったのですが、もう凄い人の波で鑑賞どころか歩くのがやっという状況でした。今回の竹中大工道具館での展示は、そのダイジェスト版といったところで、展示数はすくないもののじっくり見られるだろうということで楽しみにしておりました。

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展示は「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などに登場する日本の建築を、建築史家・藤森照信氏の監修により紹介するという内容。当日は雨で人が少なかったせいもあり。あべのハルカス美術館では人並みでじっくり見ることができなかった背景画や美術ボード、美術設定といった制作資料をしっかり鑑賞閲覧することができました。添附されている解説も要領を得ており楽しめました。

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1Fホールのみでの展示のため展示数こそ少ないものの、その分入館料が一般500円、大高生300円、中学生以下無料、65歳以上の方200円とこの手の展示会としてはずいぶん割安。しかも常設展観覧料が含まれています。アニメ好き、建築好きに一押し、常設展も見応えがあるのでぜひどうぞ。●5月6日まで開催中 ※写真はホームページより拝借しました