2019-06-11 (Tue)
18:18
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以前からカメラと並んで双眼鏡は趣味の光学製品で、手頃な価格帯のものを色々使っている。今回は世界的にも例のない?超近接双眼鏡、オリンパスPapilio II 6.5x21を購入してみた。野鳥や自然観察に双眼鏡はつきものなので、以前から色々試しているし、また美術館や博物館用に単眼鏡も用意している。しかし双眼鏡ではせいぜい2mも寄れれば上等だし、単眼鏡は立体感が得られず片目では疲れるという欠点がある。そこで以前から評判の良いPapilio II の6.5倍を試してみることにした。

この双眼鏡の売りはなんといっても、ピント合わせ最短約50cm。つまりマクロ対応双眼鏡なのだ。もちろん一般的な野鳥観察などの用途にも使える。特筆すべきは近接時に対応したパララックス補正機構。つまり近距離の対象物にピントを合わせると、それに連動して左右の対物レンズがスライドして中央に寄るという仕組みを持っている。人間の寄り目と同じである。実はビクセンのat4双眼鏡も近距離55cmに対応しているのだが、寄り目機構を持っていないために、至近距離では像を重ねて見ることは難しい。これは実際にat4を購入して検証してわかったことである(小さくていい双眼鏡だったけれど)。

手持ちの単眼鏡GOTO GT-M518も持ち出して比較してみた。Papilio II は対物レンズが小さい割には意外と図体が大きいので、単眼鏡とは持ち運びの点で比較にならない。見え味はハイエンドだけにGT-M518がやや上だが、やはり双眼鏡の見やすさ、立体視、操作性は格別である。Papilio II は実売12,000円程度とリーズナブルだが、周辺収差や歪曲はまずまず。マルチコートだし類まれな近接性能を考慮するとバリューは上々。ただしストラップはチープなので手持ちのオプテックと交換している。

この手の昆虫や山野草などを観察するときはバッチリ。野鳥相手でも6.5倍という倍率は被写体を導入するのが下手な私にも使いやすい。フィールド観察には最適な一台だろう。ツァイスおたくの家人もひと目覗いて「むむむ…」と唸っていた(笑)

美術品でも使いみちがある。この並河靖之の作品のような超絶技巧をマクロで鑑賞するにはもってこいである。また先日印象派の作品を鑑賞するために県美へでかけたが、人混みを分けて後ろからキャプションボードを読みのに役立った(笑)。倍率から作品全体を鑑賞するのは不向きだが、逆に視力低下が進んだ私の目でもレンズを通すと、絵のタッチやディティールが手に取るように分って、いつもと違う楽しさも味わえた。いい買い物をしたと思う。
★PENTAX 双眼鏡 PAPILIOII6.5×21 ポロプリズム 6.5倍 有効径21mm
Last Modified : 2019-06-11