2020-10-20 (Tue)
18:11
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この前ちょっと双眼鏡のことを調べていたら、偶然ニコンから新製品が発売されていることを知った。ニコンの景気が悪いことは周知の事実で、先日もライフルスコープ事業から撤退との報道があったばかり。カメラはともかく双眼鏡のような純粋な光学機器は縮小の一途だと思っていただけに、このセイン製品には驚き桃の木。いまどきこの手の新製品といえば、大陸系の企業にODMで作らせていると思っていたが、存外ちゃんとした商品なのでブログネタに取り上げてみた。

若手が企画したのだろう、見た目は従来のニコン調デザインを引きつつも、スッキリした今日的なフォルムと質感がいい。女性を意識したのか、赤、青、緑の三色が差し色としてラインナップされている。かつ倍率が10倍限定で、一般的な8倍が併売されていないことを考えると、観劇やコンサート、スポーツ観戦を目的としたものだろう。

コンサートでは10倍でもちょっと倍率が不足するかもしれないが、対象を視野に導入する容易さや汎用性を考えるとこれぐらいがいいだろう。手ブレは80%低減とのことだから、双眼鏡初心者には大いに助かるはず。電源スイッチは10分でオートオフなので便利だ。キャノン防振双眼鏡のような押した間だけ防振が働くという野暮ったさはない。

僕もキヤノンのIS双眼鏡10x30 IS II(上記写真)を持っているが、恐ろしく不格好なうえに30mm口径のくせに600gと重い。コンパクトに折り畳めないから場所も取る。このデザインと使い勝手を我慢しているのは、優れた防振性と意外とレンズの見え味がよいということに尽きる。

このニコンは防振双眼鏡としては珍しくコンパクトに折り畳めるので、女性ユーザーにも喜ばれると思う。口径を25mmに抑えたのはいい落とし所だと思う。30mmではやはり大きくなるし20mmでは明るさや視野が不足する。写真でもわかるように、今どきの双眼鏡としては接眼レンズの口径が小さいのは設計を欲張らなかったということか。

従来ニコンの防振双眼鏡は富士フィルム製のOEMだったが、久しぶりの新製品はなかなかの力作だ。防振双眼鏡といえばポロ型が普通だと思うが、それをコンパクトなダハ型の筐体に収めたのはえらいと思う。昨今は中華製と思えるケンコーやビクセンのものが出ているが、さすがニコンと思えるだけの出来には感心した。ちょっと残念なのは競合他社より少し高い69,000円という値付け。5万円前後に収めれば、かなり売れると思うのだけれど。機会があれば現物を手にとってみたいものだ。★Amazonで見てみる
Last Modified : 2020-11-18