2022-09-12 (Mon)
18:29
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子供の頃から地理は得意だったので、諸外国の国名、場所、首都はほとんど諳んじていたが、社会人になった頃から民族運動やソ連崩壊によって国際情勢は激変、新しい国がどんどん生まれ国名も国境も大きく変わってしまった。最近はスマホという便利なものがあるので、国際ニュースや海外ドキュメントを見る都度GoogleMapを活用しているが、比較的新しい国はもともと学校で教育されていない上に、小さなスマホで見る地図では国々の相関位置関係がわかりにくい。また一般的に用いられているメルカトル図法では赤道から離れると歪が多く、距離や面積が正確に表示されない。そこで以前から欲しいと思っていたこぶりな地球儀をリビング用に購入した。

地球儀といっても、子供向け教育用の小さなもの(21cm)で、品名は「昭和カートン 地球儀 21-GX 行政図タイプ」という。Amazon価格2,213円だから、地球儀の中でも最低価格に近いものだが、高級感はないものの地図の張りズレなどは一切なく、印刷も鮮明だった。小学生の頃、授業でミニ地球儀を作ったことがある。短冊に切った地図をしこしこ球型のボールに貼り付けた記憶があるのだが、メーカーの宣伝写真を見たら、職人さんが同じように切り貼りをしているのを見て、そんなことを懐かしく思い出した。

地球儀のレビューを読んでいたら、やはりウクライナ周辺のことを知りたくて買う人が多いようだ。ソ連崩壊後バルカン周辺は大きく変わっているし、また古代から地政学上の要点なので、地球儀上で眺めてみると、一般的な地図で見るそれとは印象が少し異なる。ウクライナ周辺国との関連、NATO対ロシアのにらみ合いもよく理解できる。従来のバルト三国に加えスウェーデン、フィンランドがNATOに加盟すれば、ロシアの面子は丸くずれだろう。

地球儀を見ていたら興味が湧いて、太平洋戦争で海軍航空隊の基地があったラバウルはどこだろう?と調べてみた。現在のパプアニューギニア、当時はオーストラリア委任統治領であるニューブリテン島である(画面1/3下中央あたり)。なんど日本から4,700kmの彼方である。この地を占拠して、航空兵力を投入したわけだ。この周辺は珊瑚海海戦、ソロモン海戦、ガダルカナル戦など、戦争の帰趨を決する戦いを行われた激戦地だ。
地球儀を見ることによって、ほとんどオーストラリアの鼻先で戦われたということがよく理解できた。昨今中国の海洋進出を巡ってオーストラリアとの確執が叫ばれているが、日本軍と戦ったという歴史があるオーストラリアは、そのことをよく覚えていて、外国の圧力を排すということが国是なのだろう。まさに「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」である。もちろん日本の政治家は愚者の方であるが。こんな小さな地球儀でもしばしの間、歴史に思いを馳せることができた。
Last Modified : 2022-09-12
世代という部分もあるかと思っていますが、
地球儀というモノの直感的な情報の良さがありますね。